論文の背景: Yudi Zhangは、カスタマージャーニーを分析する絶妙な方法を見つけました

yudi zhang

Amazonで買い物をしているお客様は、多くの場合、選択した商品の購入に至る前に、たくさんの選択肢を見て回ります。お客様はいつ、どのような理由で注文を決定するのでしょうか? Yudi Zhangは、ショッピング体験がどのように購入につながるかに関心を持っています。

International Conference on Learning Representations 2024のワークショップAI4Differential Equations in Scienceで採択された論文で、Zhangと同僚はカスタマージャーニーの最も重要な要素を推定するという問題に対する斬新なアプローチを紹介しました。この論文は、Zhangが2023年の秋に入社したAmazon Web Services(AWS)の応用科学者であったときに執筆されました。

アイオワ州立大学で統計学の博士号を取得したZhangは、2024年7月に応用科学者としてAmazon Adsに入社しました。ここで彼女は論文と調査内容について語ります。

Amazon Ads入社した理由を教えてください。

ここで研究されていることは本当に興味深いと思います。高度な推奨事項システムとパーソナライゼーションに取り組むための豊富なデータを提供してくれます。それらは、カスタマーエクスペリエンスを直接形作るものになります。このようなタイプのシステムは多くの大企業に存在しているので、Amazon Adsは専門的に開発するのに非常に良い場所です。Amazonは学会や調査をサポートすることで科学者に投資しているので、広告分野の最先端を行き続けることができ、Amazon Adsは最近大きな成長を遂げています。

主な調査分野は何ですか?

主な焦点は、推奨事項システムとパーソナライゼーションであり、人々が興味を持ちそうな商品を紹介できるモデルとアルゴリズムを構築することです。通常、推奨事項システムには2つの部分があります。1つ目は調達です。お客様に紹介するために、できるだけ多くの関連性の高い商品を取得します。2つ目はランキングです。ここでは、より多くの人が最も関連性の高い広告をクリックできるように、特定の順序で並べたい商品が多数あります。私は調達の部分に取り組んでいます。

論文「Neural ODE for multi-channel attribution」では、何に焦点を当てていますか?

焦点は、マルチタッチアトリビューションにあります。これは、カスタマージャーニーを理解し、最終的なコンバージョン(ここではクリックまたは購入)に最も貢献したやり取りを特定しようとする調査分野です。デジタルリテール業界では、お客様が購入前に複数のタッチポイントとかかわることがよくあります。 広告を見たり、商品ページを閲覧したり、レビューを読んだりします。これらのさまざまなアクションとやり取りはすべてタッチポイントと見なされます。

これまで、モデルにはラストタッチアトリビューションまたはファーストタッチアトリビューションを取り込んでいました。つまり、最終的なコンバージョンアクションの最初または最後のステップに最も重点をおいていました。しかし、カスタマージャーニーは非常に複雑です。ほとんどの場合、中間のタッチポイントのいくつかは、お客様の意思決定を促進する上でより重要です。そこでこの論文では、カスタマージャーニー全体でこれらのやり取りがどのように連携するかを理解するために、より包括的なモデリングソリューションを追求しました。

この調査の興味深い点は何ですか

この論文で最も興味深いのは、アテンションメカニズムを使用してアトリビューションをモデル化していることだと思います。シンプルなマルチアトリビューションモデルでは、各やり取りを独立したものととらえるか、それぞれを同等に重視します。しかし、このアテンションメカニズムは、一連のタッチポイント全体を調べ、カスタマージャーニー内でのそれぞれの重要性を動的に評価します。今日のAIベースのツールの多くは、このアテンションメカニズムに基づいてトレーニングされており、ビッグデータからどのポイントがより重要かを特定できるレイヤーです。これは、当社のアトリビューションタスクにも非常にうまく機能します。

これは論文の一部分であり、もう一つはニューラル常微分方程式(ODE)です。他のタイプのモデルでは、時系列を使用してカスタマージャーニーをモデル化する場合があり、各ステップは比較的定期的に行われます。しかし実際には、カスタマージャーニーの時間間隔は大きく異なる場合があります。今日あるものを見て、10秒後、または10日後に別のものを見るかもしれません。ODEは、このような不規則な時間差を捉えることができます。

私たちは有料検索や自然検索など、さまざまなAWSのマーケティングチャネルでお客様とのやり取りのモデルをテストし、コンバージョンにとってどのチャネルがより重要かを特定しようとしました。それは、従来のアトリビューション方法よりもはるかに優れたパフォーマンスを発揮しました。

この調査は広告にどのような影響を与えていますか?

この調査はAWSのマーケティングチャネルに焦点を当てていますが、この方法は広告にも適用できます。影響は3つの領域に及びます。まず、お客様とのやり取りの順序とタイミングを理解することは、どの広告を、どの順番で併用すると最も効果が高まるかを判断するのに役立ちます。この知識により、認知度重視の広告を通じてエンゲージメントを開始して、コンバージョンを促進する広告に見込み客を誘導する戦略をサポートできます。次に、各タッチポイントの有効性を知ることで、広告主様はキャンペーンをより高い精度でパーソナライズできるようになります。たとえば、以前に特定の広告フォーマットやコンテンツで高いエンゲージメントを示したお客様に広告を配信することで、カスタマージャーニーにおける各タッチポイントの関連性と影響力を高めることができます。そして3つ目は、さまざまなタッチポイントがお客様の行動にどのように影響するかに関するデータを収集することで、キャンペーンが開始される前に効果の可能性を推定する予測モデルを構築できることです。

Amazon Adsで働くことの気に入っている点は何ですか?

Amazon Adsは、革新的なアイデアを柔軟に探求する点で非常に大きな影響を及ぼします。私たちの部門は会社全体の成長に大きく貢献しており、これは素晴らしいことです。私は、非常に高品質なたくさんのデータセットにアクセスでき、それらは堅牢な機械学習モデルを構築するのに非常に貴重なものとなっています。これにより、高度なテクニックを使った実験ができるので、非常に良い経験ができています。

Amazon Adsの科学者も緊密に協力しており、アイデアを共有してイノベーションを促進するためのネットワークがあります。たとえば、推奨事項システムプロジェクトでは、機械学習に強みを持つ科学者が自然言語処理や因果推論の専門家と協力して、包括的なソリューションを作成する場合があります。定期的にモデルの相互評価を行い、結果を検証し、代替案を探して、正確性と効率性を確保します。ソフトウェアエンジニアとも実際に協力してモデルをAmazonのインフラストラクチャに統合し、リアルタイムのパフォーマンスと拡張性を最適化します。また、プロダクトマネージャーと連携してモデルをビジネス目標に合わせ、ユーザーエクスペリエンスとエンゲージメントに直接影響を及ぼします。

Amazonには才能のある人がたくさんおり、彼らとコラボレーションする過程で多くのことを学ぶことができます。

ご自身の役割において、どのように広告を再考していますか?

モデルの解釈可能性を高めて、広告主様がパフォーマンス指標を見るだけでなく、インサイトの背後にある論理的根拠も理解できるように、透明性に重点を置きたいと考えています。広告主様により多くの解釈を提供できれば、お客様にとってもより価値のある、または関連性の高いエクスペリエンスを提供できるようになります。