「時は迫りつつあります。」 Ad Net Zeroのディレクターが、よりサステナブルな広告業界の計画の概要を説明

2023年9月27日 | 投稿者:Matt Miller、シニアコピーライター

山と太陽

The Sproutへようこそ。このシリーズでは、より持続可能な未来に向けて企業がどのように取り組んでいるかを探っていきます。

Ad Net ZeroのJohn Osbornディレクターは、フクロウが大好きです。彼は数年前、車の運転中にフクロウを誤って轢いてしまったことがあります。「とてもショックでした」と彼は振り返ります。Osborn氏の世話の甲斐あってそのフクロウは回復し、自然に帰すことができました。彼にとってこの話は、気候変動対策の緊急性と、よりサステナブルな広告業界をアピールする上でも役立つものです。 「環境の変化により食料源が枯渇していることにより、高速道路で車に轢かれるフクロウや鳥が増えています。」

BBDOやOMD USAのCEOを務めるなど、広告業界のリーダーとして長年働いてきたOsborn氏は、常に自然と深いつながりを持ってきました。2000年代初頭、彼はBBDOで、アメリカ赤十字社のキャンペーンに取り組む機会を得ました。彼は自然災害がもたらした破壊の規模を自ら目の当たりにし、個人的にこの組織でボランティア活動を始めました。

John Osborn氏


Ad Net Zeroディレクター、John Osborn氏

2022年、Osborn氏はAd Net Zeroでの現在の役割に取り掛かるとともに、自身の専門知識と環境保護への情熱を結びつける方法を見いだしました。Ad Net Zeroは、広告の開発、制作、運営による二酸化炭素の影響を削減して実質ゼロ、つまり大気中に排出される炭素と大気から除去される炭素の均衡を実現するための、広告業界の連合体です。Ad Net Zeroは、業界最大の広告代理店、ブランド、テクノロジー企業で構成されており、メンバーシップ全体で全世界の広告費の45%以上を占めます。グループは、事業活動における二酸化炭素排出量を削減するために、広告代理店やマーケティングサービス会社に対し、電力使用量、出張、廃棄物排出量などの消費データを毎年測定するよう呼びかけています。

「世界中で気候関連の事象の数と深刻さが増していることは否定できません」とOsborn氏は言います。「そして、広告業界には進歩を遂げるための明確な見通しがあります。必要なのは、二酸化炭素排出量の管理と削減のためにただ手を取り合うことです。たった1つですべてが解決する特効薬のようなソリューションはありませんが、課題があるところにはチャンスがあります。そして私たちはそれを達成できるはずです。」

6月、Amazon AdsはAd Net Zeroに参加することを発表しました。Amazon Adsはまた、Ad Net ZeroとThe Climate Pledge(気候変動対策に関する誓約)との新たなコラボレーションの創設を発表しました。これは、2040年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにすることを目指す世界のトップ企業との取り組みです。The Climate Pledgeに署名した400社以上(なおも増加中)は、実質ゼロ達成への決意をすでに表明していることから、Ad Net Zeroへの加入資格を得ています。この新しいパートナーシップは、The Climate Pledgeに署名した企業がAd Net Zeroに参加し、メディアの脱炭素化をより幅広く支援する道を整えるものとなります。

観測史上最も暑い月となった7月1、Osborn氏はAmazon Adsと対談し、広告業界が直面している二酸化炭素排出量の問題、この問題に立ち向かうAd Net Zeroの一致団結した戦略、そしてこの緊急の人類の危機に対処するために業界リーダーができることについて話し合いました。

Ad Net Zeroについてまだよく知らない読者のために、あなたのミッションについて少し教えていただけますか?


存在する大きな課題の1つは、私たちは生まれつき、明らかに目の前にある危機にしか反応しないようにできているということです。世界の温度が次第に上昇していることや、二酸化炭素排出の問題は、誰にとっても明らかに目の前にある危機ではありません。この問題は私たちが向き合わなければならない重大な問題であるという事実に、より多くの人々が目覚める必要があります。

もう1つの問題は、広告業界において、私たちはとても反応主導型であるということです。そして、この業界の多くの人々が、気候問題について何かがしたいと思っています。しかし、その方法は人によって少しずつ異なり、ベンチマークを設定するための共通の測定値も、二酸化炭素排出量の測定、管理、軽減に関して進むべき方向性も、広告業界全体としての認識がありません。今は西部開拓時代のようなものです。

私たちがやるべきことは単純明快です。 それは、広告業界が自立できるようにすることです。また、測定の枠を超えて、求職者が希望する勤務先を決定する際や、クライアントが取引先を決定する際に、サステナビリティを指標とするケースが増えています。これは、WFAのGARMおよびIAB Tech Labが最近発表したベストプラクティスガイドからも明らかです。また、ブランドにサステナビリティを求める消費者が増えています。

このサステナビリティの課題を、業界の他のリーダーたちに通常どのように説明していますか?


私がリーダーたちに問いかけることの1つは、 毎日何をしていますか?ということです。 ほとんどのリーダーは、自分のすることは物事の決定だと言います。次に私は、何を基準に決定するかを彼らに尋ねます。コスト、スピード、品質に基づいて決定を下す、という答えがおおむね多いでしょう。私はここで、二酸化炭素排出量に基づく決定も今後ますます増えると彼らに伝えます。それが4つ目の基準です。

会社にビジネスのやり方を教えるつもりはありません。私は、彼らがビジネスのためにより良い意思決定をより迅速に行えるように、適切な情報を彼らに提供するつもりです。そして二酸化炭素排出量は、今後より多くのリーダーたちが重要な決定を下す際に認識し、検討しなければならないことです。

その一例を示します。 プログラマティック広告では、広告による二酸化炭素排出量の50%以上がメディアに由来するため、多くの無駄が生じています。私たちのワーキンググループの一環として、優れた頭脳を結集させたところ、プログラマティック広告の整理と合理化により、配信を犠牲にすることなくさらなる効率性を得ることが可能だという意見に一致しています。効率を上げることで、より大きな価値を引き出すことができます。それはより大きな利益と、より良いビジネスの方法につながります。

それは実に賢明な枠組みの方法です。このトピックについて、リーダーたちから危機感は感じられますか? 彼らは変化を望んでいますか?


幸いなことに、危機感は高まっています。しかし正直なところ、私たちはまだ立ち遅れています。これは広告に限ったことではありません。どの業界も自分の姿を鏡で見ながら、二酸化炭素の測定と削減を試みるための行動を取ろうとしています。でも、私は楽観的な人間です。そして、広告業界が一丸となれば、私たちには素晴らしいことを実現するだけの力があります。

炭素排出量に関する一貫した測定、管理、削減のための共通の枠組みを作ろうとする初期の勢いから、私は心からの希望を感じています。ここに私たちは正しい道を歩んでいます。でも、もっと速く進まなければなりません。これは、地球を救うことについての話です。

Ad Net Zeroのレポート2を読みましたが、このトピックに馴染みのない読者のために、計画の柱について、いくつか教えていただけますか?


この業界は広告主にサービスを提供するためにありますが、現在広告主は規制の強化に直面しています。このため、より一貫性のあるレポートが必要とされます。そして、Ad Net Zeroは2つの側面を持つニーズによって生まれました。 1つは、今この瞬間の測定とベンチマークを理解することに焦点を当てています。もう1つは教育です。広告業界がクライアントにより良いサービスを提供するための有効な手段を提供することです。皆がやる気に満ちています。私たちには素晴らしいリソースがあり、Ad Net Zeroはさまざまな形で、業界で行われている多くの素晴らしい仕事をつなぐ役割を果たしています。

私たちは5つのアクションプランを策定し、それぞれに連携したワーキンググループを用意しています。 1つ目は、広告事業運営からの排出量を削減することです。2つ目は、広告制作による排出量を削減することです。3つ目は、メディアプランニングと購入による排出量を削減することです。4つ目は、アワードやイベントによる広告排出量を削減することです。そして5つ目は、将来の広告に対する考え方を変えるための長期的なイノベーションです。誠実さを保ち、着実に進歩を続けることが私たちにとって重要なことです。私たちは形式重視の組織ではありません。結果を重視する組織です。

6月、Amazon AdsはAd Net Zeroへの参加を発表しました。それは業界全体にどのようなメッセージを伝え、どのような意義があるのでしょうか?


大リーグの完成です。はっきり言いましょう。Amazonのような規模とリーチを持つ企業が、私たちはより大きな社会の利益のために働くことができると宣言することには、巨大なインパクトがあります。Amazon Adsと一緒に仕事ができることを大変光栄に思い、わくわくしています。これらの大手ブランドが参加することで、勢いは継続します。そして、本当の進歩を得るためには、さらに行動を変えていく必要があります。なぜなら、時は刻一刻と迫っているからです。

私たちの最新の調査によると、消費者の66%が、サステナブルな事業活動を行うブランドを積極的に探し求め、消費者の52%が、サステナビリティの第三者認証を取得した製品には追加の出費も厭わないと答え、Z世代の成人の消費者の62%が、さらに高額になっても購入したいと答えています。環境への悪影響を減らすために、ブランドや広告主が消費者から緊急に求められているのは、どのようなことでしょうか?


ますます多くの消費者が立ち上がり、自分たちの生き方について、これまでとは違う決定を行っていくことを表明しています。これは全世代的に見られることですが、特に若い世代に見られるとも言えます。Z世代と話すと、彼らはこの問題をとても気にかけています。サステナブルで長期的なビジネスを構築するつもりであれば、Z世代に目を向ける必要があります。彼らの存在も意向も、無視することはできません。このミッションに素早く取り組もうとしない企業は、大きなリスクを冒すことになります。ビジネスの将来の安定性と活力は常に細かくチェックされ、将来の世代が納得することはないでしょう。

Ad Net Zeroの今後の目標は? 年内、そしてそれ以降はどのような状況が予想されますか?


私たちの最終目標は、広告業界に測定の一貫したフレームワークを構築することです。AdGreen生産炭素計算データベース(Ad Net Zeroともつながりを持つ非営利団体AdGreenが作成した業界標準ツール)に、少なくとも1,200件の生産ジョブを入力する必要があります。これにより、生産ジョブの排出量測定の明確なベンチマークが得られます。今年の終わりまでに、メディアに関する測定のガイダンスとガイドラインを確立し、どのメディアツールを使用するかに関係なく、すべて同一条件で比較できるようにしたいと考えています。そして、私たちが盛り上げてきた勢いを継続する必要があります。

広告を制作する場合は、AdGreenやGARMサステナビリティメディアガイドなど、現在入手可能なベストプラクティスやツールをメディアプラン全体で採用することを、皆さんにお勧めします。私たちは、科学的根拠に基づいた目標を採用する必要があります。 Ad Net Zeroは、このようなプロセスを実現する企業を支援します。また、こうしたさまざまなアクションに関するトレーニングも提供しています。

電力の選択肢を検討してください。再生可能エネルギーを選ぶべきです。また、出張の際にも、なるべく飛行機の利用を減らし、環境負荷の少ない手段で移動するように努めてください。また、デジタル広告を脱炭素化する方法については、IAB Tech Labのガイダンスを活用してください。

サステナブルな製品、サービス、行動を促進するために行っているあらゆる取り組みを加速させましょう。成功例があれば、それをAd Net Zeroチームと共有して、全員がお互いに学び合えるようにしましょう。

状況を変えるには、過半数の賛同が必要です。そのため、今年の終わりまでに、ここ米国で約80社(現在の約2倍)の(Ad Net Zeroに加入した)サポーターが得られることを期待しています。これにより、英国の100社以上、アイルランドの70社以上、そして創立期からのグローバルレベルのサポーター25社を補完することができます。ニュージーランドでも8月の初めにローンチしたばかりで、他の市場にも追加の計画があります。私たちは時とともに進み、力を合わせれば素晴らしいことを成し遂げることができます。

1世界気象機関、2023年
2Ad Net Zero